PCTFE素材とは?加工のする際のポイントや優れた性能、主な用途を解説
2025年1月30日
PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)は、フッ素樹脂の一種です。優れた耐薬品性や電気特性、低いガス透過性などが特徴で、特殊な環境下でも高い性能を発揮します。
この記事では、PCTFEの基本的な特徴や主な用途、加工の際のポイントなどについてわかりやすく解説します。PCTFEの使用を検討している方はぜひ参考にしてください。
PCTFEとは?

PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)は、フッ素樹脂の一種で、三フッ化エチレン樹脂とも呼ばれます。この素材は、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、非粘着性、耐候性、さらに、機械的強度や光学特性に優れている点が特徴です。
耐熱性と耐薬品性は、PCTFEよりもPFAやPTFEといった他のフッ素樹脂の素材の方が優れていると言われていますが、機械的強度は他の素材よりもPCTFEの方が優れているため、強度が求められる環境で使用されることが多いです。
また、PCTFEは無色透明で流動性が高く、成形性にも優れているため、幅広い分野で活躍しています。
PCTFEの優れた性能

PCTFEは、耐熱性、耐薬品性、非粘着性、電気特性などに優れ、さらに機械的強度や光学的特性を備えた非常に優れた素材です。その特性から、多くの業界で広く活用されています。ここでは、それぞれの性能について解説します。
耐熱性
耐熱性は、熱が加わる環境下での使用可否を左右する重要な特性です。PCTFEは、融点が210~215℃、連続使用温度が120℃と、非常に優れた耐熱性を持っています。この性能により、高温環境下でも安定して使用でき、幅広い用途に対応可能です。
耐薬品性
PCTFEは、酸・アルカリ・有機溶剤・油といったさまざまな薬品に対して高い耐性を持っているのが特徴です。特に酸やアルカリに対して優れた性能を発揮するため、化学薬品や医療機器を扱う環境でも使用できます。薬品による劣化の心配が少ないため、信頼性の高い素材として広く使用されています。
非粘着性
PCTFEは、粘着しにくい特性を持つ素材で、非粘着性が求められる用途におすすめです。例えば、調理器具や食品加工の現場など、衛生的で清潔さが求められる分野で大きなメリットを発揮します。反対に、粘着性が求められる環境には不向きです。
電気特性
PCTFEは、低い誘電率と誘電正接を持ち、優れた電気特性を備えています。そのため、絶縁材として使用されるほか、電気を通したくない製品や非磁性が求められる用途に適しています。
ガスバリア性
ガスバリア性とは、酸素や水蒸気などの気体を通しにくい性質を指し、商品の劣化を防ぎ、品質維持に重要な役割を果たします。PCTFEは、防湿性(水蒸気透過率)において最高レベルを誇り、包装材料や特殊用途のコーティング材として広く使用されています。
機械的強度
機械的強度は、材料が物理的な外力にどれだけ耐えられるかを示す重要な特性です。PCTFEは他のフッ素樹脂より硬く、引張や圧縮に対して優れた耐久性を持っています。また、寸法安定性や耐衝撃性にも優れているため、高精度が求められる部品や構造材料として適しています。
PCTFEの用途

PCTFE樹脂は、優れた耐薬品性や電気特性、耐熱性などにより、さまざまな分野で幅広く利用されています。
例えば、以下のような分野で活躍しています。
産業分野 | 主な用途 |
調理器具 | フライパンなどの表面コーティング材 |
電気・化学工業 | 腐食性の高い薬品や高温環境でのチューブ・ホース・パッキン・摺動部品・絶縁材 |
半導体製造 | 薬液の搬送貯蔵などのプラント材料 |
航空宇宙 | 宇宙船の部品衛星の部品 |
医療 | 人工心肺機の部品 |
PCTFEの切削加工のポイント

PCTFEをはじめとするフッ素樹脂は、その特性から成形が難しい材料として知られています。PCTFEの切削加工において、特に重要なポイントを紹介します。
PCTFEをはじめとするフッ素樹脂は、温度管理の徹底が大切です。温度による寸法変化が大きい特性を持つため、室温管理や切削時に発生する熱には細心の注意が必要となります。特に高精度な加工を要する場合は、事前に材料の温度ならしを行うことがおすすめです。
また、傷や汚れへの対策も重要です。PCTFEなどのフッ素樹脂は、硬度が低く傷つきやすい素材です。PCTFEは無色透明であることから汚れも目立ちやすい特徴があります。そのため、加工時には材料の取り扱いに十分な注意を払う必要があります。
さらに、硬度の低さから、不適切な圧力設定により容易に変形する可能性が高いです。変形を防ぐため、クランプ時には適切な圧力設定を心がけることが大切です。
まとめ
PCTFEは、優れた耐熱性や耐薬品性、電気特性などにより、化学工業分野や、医療分野、航空宇宙分野などで活用されています。特性を理解し、適切に活用することで、その性能を最大限に引き出せるでしょう。
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